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高度なプロンプティング

Nano Banana Pro の推論能力を最大限に引き出すための高度なテクニックを解説します。

ポジティブ・オーバーライティング(Positive Overwriting)

Section titled “ポジティブ・オーバーライティング(Positive Overwriting)”

Nano Banana Pro には、多くの場合「ネガティブプロンプト(除外したい要素の指定欄)」が存在しません。

また、チャットで「ボケを入れないで(No blur)」と入力すると、逆にモデルが「ボケ(Blur)」という単語に注目してしまい、ボケた画像を生成してしまうパラドックスが発生します。

解決策:肯定的な対義語で上書き

Section titled “解決策:肯定的な対義語で上書き”

「〜しない(No X)」と否定するのではなく、「〜である(Be Y)」と肯定的な対義語で上書きする方法です。

ボケなし、低画質なし
(ボケないで、低画質はやめて)
シャープな焦点、高忠実度、鮮明な詳細、8k解像度、詳細なテクスチャ
(シャープな焦点、高忠実度、鮮明な詳細、8k解像度)

一般的な除外キーワードセット

Section titled “一般的な除外キーワードセット”

API経由やVertex AIを利用する場合、ネガティブプロンプトのパラメータが利用可能です。

一般的な除外:

透かし、テキスト、日付スタンプ、歪んだ手、
余分な手足、低解像度、jpegノイズ

リアルな写真を目指す場合:

漫画、イラスト、絵画、ドローイング、スケッチ、
鮮やか、高彩度、ネオン

セマンティックな除外(Semantic Negation)

Section titled “セマンティックな除外(Semantic Negation)”

チャットインターフェースにおいて、どうしても要素を除外したい場合は、以下のような自然言語での制約が有効な場合があります。

テキストオーバーレイが含まれていないことを確認してください。
背景に人物を含めないでください。

[!WARNING] これらは「ポジティブ・オーバーライティング」に比べると信頼性が低いため、基本的には「何を生成するか」を詳細に記述する方が確実です。

一発で完璧な画像を生成しようとせず、会話を通じてAIと共に作品を練り上げていくプロセスです。

[!NOTE] ワークフローについて: 以下は想定されるワークフローの一例です。モデルの挙動によっては、前の文脈が完全に保持されない場合もあります。

Step 1: 基本生成

モダンな空のリビングルームを生成して。大きな窓がある。

Step 2: 家具の追加

中央にグレーのソファを配置して。

Step 3: 小物の追加

ソファの前に木製のコーヒーテーブルを置いて。その上に花瓶を飾る。

Step 4: 色の変更

壁の色をセージグリーンに変更して。

Step 5: 照明の調整

窓の外の景色を夜景に変えて、
部屋の照明を暖色系にして。

このプロセスでは、モデルは前の画像の文脈(Context)を保持しつつ、新しい指示(差分)のみを適用しようと試みます。

ユーザーは「ガチャ」を回すのではなく、「演出家」としてシーンを構築できます。

会話的制約(Conversational Constraints)

Section titled “会話的制約(Conversational Constraints)”

特定の要素を保持したまま、他の部分だけを変更する指示です。

キャラクターはそのままで。
背景を雪の森に変えてください。
雪の反射に合わせてキャラクターの照明を調整してください。

この「Keep the character exactly as is(キャラクターはそのままで)」という指示は、強力な制約として機能する傾向があります。

従来のインペインティングでは、修正したい箇所をブラシで塗ってマスクを作成しますが、Nano Banana Pro は自然言語による指示で修正箇所を特定します。

指示:

赤い車を青いトラックに変えて

処理: モデルは画像内の「赤い車」に相当する部分を認識し、その部分だけを再描画するような挙動を示します。